wiki:Ex08課題2016

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マルチサイクルプロセッサの制御

マルチサイクルプロセッサでは、ひとつの命令を複数のステップ(サイクル)に渡って実現します。 その各ステップで利用する信号、モジュールが異なります。その動作をまとめたものが以下の状態遷移図です。

状態遷移図:http://galaxy.u-aizu.ac.jp/note/raw-attachment/wiki/Ex08%E8%AA%B2%E9%A1%8C2016/FSM.pdf

この状態遷移図では状態は0から12の13状態が定義されています。 各状態には、その時に出力されるべき信号名とその値が書いてあります。

例えばR形式命令の場合、1サイクルごとに「0→1→6→7」と遷移することがわかります。 他の命令の場合も「0→1」の遷移は共通です。状態0は命令フェッチ、状態1は命令デコード&レジスタ読み出しをおこないます。

状態0では、以下の動作が同時に実施されます

  • メモリから現在のPCのアドレスにある命令を読み出す。
  • PC+4を計算してPCを更新する。

そのためメモリのアドレスにはPCの値を入力すると同時にメモリを読み込むための信号(MemRead)を真に(アサート)します。 またメモリから読み出す値が命令かデータかを判別する信号IoDは、偽に(ネゲート)します。 さらに、IRWriteをアサートすることで、読み出された命令がメモリレジスタ(MDR)に保持されます。

ALUの入力AにはPCの値を入力するため、それを制御する信号ALUSrcAはネゲートします。 ALUの入力Bには"4"を入力するので、それを制御する信号ALUSrcB(3 bit)は"001"となり、 ALUは加算をするため、それを制御する信号ALUOp(2 bit)は"00"とします。 その結果をPCレジスタに書き込むため、PCWriteはアサートされ、PCSource(2 bit)は"00"となります。

状態1では、以下の動作が同時に実施されます

  • 次のサイクルで計算に利用するレジスタファイルの値を読み出す
  • ジャンプ先のアドレス(PC+オフセット)を計算する

この時に必要な動作は、主としてALUでのアドレス計算です。 ALUの入力AにはPCの値を入力するため、それを制御する信号ALUSrcAはネゲートします。 ALUの入力Bにはアドレスのオフセットを入力するので、それを制御する信号ALUSrcBは"011"となります。 この時入力される値は、状態0で読み出された命令の下位16ビットを符号拡張して2ビット左シフトした値となります。 状態0と同様に、ALUは加算をするためALUOp(2 bit)は"00"とします。

またレジスタファイルから読み出された値は、A, Bレジスタに保持されます。読み出すレジスタの番号は命令の該当部分を利用します。

状態6では、以下の動作が同時に実施されます

この場合R形式命令を実行するので、ALUでレジスタ間の演算をおこないます。

  • ALUにはA, Bレジスタをそれぞれ入力する
  • 命令に応じてALUでの演算をおこなう
  • 結果はALUレジスタに保持される

そのためALUSrcAはアサートされ、ALUSrcBは"000"となります。ALUでのおこなう演算を制御する信号ALUOpは"10"とします。

状態7では、以下の動作が同時に実施されます

  • ALUレジスタに保持された値を指定されたレジスタに書き込む

この時、ALUは利用しません。レジスタファイルへの書き込みを制御する信号RegWriteはアサートされます。 また、書き込むレジスタファイルの番号を制御する信号RegDstもアサートされます。 レジスタファイルには、ALUレジスタの値を書き込むため、それを制御するMemtoRegはネゲートされます。

以上の各サイクルでR形式命令を実現できます。

他の命令の場合、つまりLW命令、SW命令、BEQ命令等の場合にも、同様に状態遷移をしながら、 各状態での信号が変化していくことを理解してください。

制御部の設計(1)

制御部モジュールのテンプレートは以下のようになります。

module ControlUnit(PCWriteCond, PCWrite, IorD, MemRead, MemWrite, MemtoReg,
                   IRWrite, PCSource, ALUOp, ALUSrcB, ALUSrcA,
                   RegWrite, RegDST, Op, CK, CLR);

   // clock
   input CK;
   input CLR;

   // opcode (6 bit)
   input [5:0]  Op;

   // 1 bit control signal
   output PCWriteCond;
   output PCWrite;
   output IorD;
   output MemRead;
   output MemWrite;
   output MemtoReg;
   output IRWrite;
   output RegWrite;
   output RegDST;
   output ALUSrcA;

   // 2 bit control signal
   output [1:0] PCSource;
   output [1:0] ALUOp;
   output [2:0] ALUSrcB;

   // register declaration
   reg          PCWriteCond;
   reg          PCWrite;
   reg          IorD;
   reg          MemRead;
   reg          MemWrite;
   reg          MemtoReg;
   reg          IRWrite;
   reg [1:0]    PCSource;
   reg [1:0]    ALUOp;
   reg [2:0]    ALUSrcB;
   reg          ALUSrcA;
   reg          RegWrite;
   reg          RegDST;

   // state register
   reg [3:0]    state;


endmodule // ControlUnit

入力信号はOpとCK(クロック信号)とCLR(リセット信号)で、その他は出力になります。 Op信号はMIPS命令コードの25-31ビットの部分です。各命令コードごとのOp信号を以下のテーブルに示します。

命令コード

命令の種類 opcode(10進数)
R形式 0
Load Word 35
Store Word 43
Branch on EQ 4
ADD imm 8
SLT imm 10
AND imm 12
ORI imm 13

注意:R形式命令では、命令コードの0-5ビットの部分で演算の種類を指定します。

例題

状態遷移図から、R形式命令の実行には4サイクル必要になります。 このことを、以下のファイルを使ってシミュレーションを行い確かめなさい。

状態遷移のみの制御回路 http://galaxy.u-aizu.ac.jp/note/raw-attachment/wiki/Ex08%E8%AA%B2%E9%A1%8C2016/ControlUnit_1.v

テストベンチファイル http://galaxy.u-aizu.ac.jp/note/raw-attachment/wiki/Ex08%E8%AA%B2%E9%A1%8C2016/CUbench_1.v

実行例

それぞれのファイルをダウンロードまたは保存して、以下のコマンドを実行。

ncverilog CUbench_1.v

この状態遷移の回路では、always文の部分はCLKが上向きに変化する時に状態が遷移します。 また、CLR信号が真になったら状態0になります(リセット)。 そのため状態遷移を行う時にはCLR信号を適切に変化させる必要があります。

実行波形

http://galaxy.u-aizu.ac.jp/comparch2014/image/CUbench1.png

課題1

LW命令とADDI命令の場合に、例題を参考にテストベンチファイルを作成して、 シミュレーションを行い、実行波形を確認してください。 それぞれの場合、実行までに何サイクル必要かを考えること。

制御部の設計(2)

各状態における出力信号を定義すると、以下のファイルのようになります。 ただし、このファイルでは、状態0と1の場合のみ記述してあります。

未完成の制御回路 http://galaxy.u-aizu.ac.jp/note/raw-attachment/wiki/Ex08%E8%AA%B2%E9%A1%8C2016/ControlUnit_2.v

課題2

全ての状態の場合の出力信号を定義して、主制御ユニット(ファイル名は"ControlUnit.v")を完成させること。

制御回路の動作確認

テストベンチファイルの例 http://galaxy.u-aizu.ac.jp/note/raw-attachment/wiki/Ex08%E8%AA%B2%E9%A1%8C2016/CUbench_2.v

このテストベンチファイルを実行し、各命令(LW, SW, RTYPE命令, BEQ, JMP, ADDI, SLTI, ANDI, ORI)ごとに、 状態番号stateごとに正しい信号が出力されていることを確認してください。

例えばLW命令の場合は、state=0では:

state= 0: MemRead=1,ALUSrcA=0,IorD=0,IRWrite=1,ALUSrcB=001,ALUOp=00,PCWrite=1,PCSource=00

と出力されます。これを状態遷移図を比べて、正しいかどうかを確認してください。

http://galaxy.u-aizu.ac.jp/comparch2014/image/comparch_ex8.png

他の命令と他のstateについても同様に確認すること。

注意:状態遷移図には各状態で変化する信号のみが書いてあります。例えばMemReadはstate = 0, 3の時は真であるべきですが、それ以外の状態では偽になっている必要があります。そのためstate = 1ではMemReadは偽になっています。他のstateの時も同様です。

動作確認

RTYPE命令とJMP命令の場合の波形を表示して、TAに動作確認を受けること。

Attachments (5)

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