= Index = [[TitleIndex(CALプログラミング)]] = N体計算 = * ここまでの説明を理解することで、最もシンプルなN体計算プログラムを作成できると思う。 * 具体的にはGRAPEなどと同じように、ホストから粒子の位置と質量をGPUに送り、GPU上で全粒子間で互いに及ぼし合う力を足しあわせて、結果として加速度を得るようなプログラムである。粒子間に働く力がニュートン重力の場合は、[http://galaxy.u-aizu.ac.jp/trac/note/attachment/wiki/CALによるGPUプログラミング/CAL200808.pdf CAL200808.pdf] (60ページ以降)で説明しているIL kernelプログラムとなる。ループの部分のみを再掲すると、以下のようなものである。 {{{ 1 whileloop 2 ige r88.x___, r100.x, r77.x 3 break_logicalnz r88.x 4 sample_resource(0)_sampler(0) r0, r2 5 sub r5.xyz, r0.xyz, r4.xyz 6 dp4 r6, r5, r5 7 rsq r7, r6 9 mul r8, r7, r7.xyz1 10 mul r8, r8, r7.xyz1 11 mul r9, r8, r5.xyz1 12 mad r3, r9, r0.w, r3 13 add r2.x___, r2.x, l1.x 14 iadd r100.x___, r100.x, l0.z 15 umod r101.x, r100.x, r77.y 16 if_logicalz r101.x 17 add r2.0y, r2.0y, l1.x 18 endif 19 endloop }}} * データ構造の定義の詳細についてはファイルを参照のこと。 * 2粒子間の重力の計算をおこなっている部分は5-12行である。 * このILプログラムは、基本構造は(3)と同じであるが、ポインタ変数(ここでは"r2.xy")の処理が異なる。なぜかというと、粒子の座標が格納されているid = 0のリソースは2次元のメモリとして指定、確保されているからである。具体的には、ホスト側のプログラムで以下のようにメモリの確保をおこなった: {{{ calResAllocLocal2D(&inputRes, device, nx, ny, CAL_FORMAT_FLOAT_4, 0); }}} * こうする大きな理由は、"calResAllocLocal1D"により1次元のメモリとして確保した場合、その次元の最大値は8192までという制限があるためである。よって、上のILプログラムの場合には、1粒子のデータとして4要素のfloatと変数を使っているので、1次元メモリで単純にN体計算を実装すると8192粒子までの粒子しか扱うことができない。これでは実質的に利用価値がなく、実際にベンチマークテストをしてみると、この粒子数ではRV770の性能を引き出すことができない。 = 2次元配列 = * 2次元のメモリからデータを読み出すには、(3)では無視してきた読み込みポインタのy成分を適切にアップデートすればよい。上のILプログラムでは、13-18行の部分でその処理をおこなっている。 * 繰り返しになるが、読み込みポインタとデータの対応関係は: {{{ v0.xy = {0.0, 0.0} ---> res0[0][0] v0.xy = {1.0, 0.0} ---> res0[0][1] v0.xy = {2.0, 0.0} ---> res0[0][2] ... v0.xy = {0.0, 1.0} ---> res0[1][0] v0.xy = {1.0, 1.0} ---> res0[1][1] ... }}} のようになっている。 * それを踏まえて13-18行をC言語に翻訳してみると、処理内容が理解できると思う: {{{ r2.x = r2.x + l1.x; r100.x = r100.x + l0.z; if (r100.x % r77.y == 0) { r2.x = 0.0; r2.y = r2.y + l1.x; } }}} * 変数の意味と定数の値はそれぞれ以下のとおり: "l1.x = 1.0", "l0.z = 1",