Changes between Version 13 and Version 14 of CALプログラミング(3)
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CALプログラミング(3)
v13 v14 3 3 4 4 = ループの例 = 5 *何か役立つ計算をおこなうためには、ループ処理が必須となる。CALでループ処理を実装してみよう。5 何か役立つ計算をおこなうためには、ループ処理が必須となる。CALでループ処理を実装してみよう。 6 6 7 *[attachment:CALTEST3.tar.gz CALTEST3.tar.gz]にループを使った計算例のプログラムを置いたので、自分のディレクトリにコピーして実行すること。7 [attachment:CALTEST3.tar.gz CALTEST3.tar.gz]にループを使った計算例のプログラムを置いたので、自分のディレクトリにコピーして実行すること。 8 8 {{{ 9 9 gpu1[~/CALTEST3] ./hellocal … … 14 14 }}} 15 15 16 *このプログラムは、1から10までの合計を計算するプログラムである。16 このプログラムは、1から10までの合計を計算するプログラムである。 17 17 18 *なお、このプログラムから、kernelプログラムは別ファイルとして処理している。"hellocal.cpp"の34-51行にて、"prog.il"というファイルを読み込んでいる。kernelプログラムのみに変更を加える場合には、このファイルを変更するだけでよくて、再度makeする必要はない。18 なお、このプログラムから、kernelプログラムは別ファイルとして処理している。"hellocal.cpp"の34-51行にて、"prog.il"というファイルを読み込んでいる。kernelプログラムのみに変更を加える場合には、このファイルを変更するだけでよくて、再度makeする必要はない。 19 19 20 *"hellocal.cpp"の本体部分は、これまでのプログラムとほとんど変わりがない。入出力用の配列を2次元から1次元としたことが大きな違いである。69-70行で、"calResAllocLocal1D()"によって1次元のメモリを確保している。この入力用のメモリには、78-84行にて1からnx(=256)の数字を代入している。20 "hellocal.cpp"の本体部分は、これまでのプログラムとほとんど変わりがない。入出力用の配列を2次元から1次元としたことが大きな違いである。69-70行で、"calResAllocLocal1D()"によって1次元のメモリを確保している。この入力用のメモリには、78-84行にて1からnx(=256)の数字を代入している。 21 21 22 *計算domainは(0, 0, 256, 1)としている(109行)ので、256個の論理プロセッサにて"prog.il"が実行される。22 計算domainは(0, 0, 256, 1)としている(109行)ので、256個の論理プロセッサにて"prog.il"が実行される。 23 23 24 *kernelプログラムは、前と比べるとかなり変更がある。重要な変更点は:24 kernelプログラムは、前と比べるとかなり変更がある。重要な変更点は: 25 25 1. "dcl_literal"による定数値の宣言と利用 26 26 2. "whileloop"によるループ処理の記述 27 27 3. データを読み込むポインタの更新 28 28 29 29 以下、個々の点について詳しく説明する。 30 30 31 31 = 定数について = 32 *wiki:"CALプログラミング(1)"のプログラムでは、浮動小数点整数をホストプログラムから転送していたが、CALでは定数値を直接プログラム中で利用することもできる。今回のプログラムでは"l0"と"l1"という定数値が5-6行で定義されている。32 wiki:"CALプログラミング(1)"のプログラムでは、浮動小数点整数をホストプログラムから転送していたが、CALでは定数値を直接プログラム中で利用することもできる。今回のプログラムでは"l0"と"l1"という定数値が5-6行で定義されている。 33 33 {{{ 34 34 dcl_literal 変数名, xの値, yの値, zの値, wの値 … … 36 36 というように宣言する。4要素を持つ変数であることに注意すること。整数を書けばそのままであり、"0xXX"とすれば16進数になるし、小数点が含まれる数は浮動小数点として扱われる。 37 37 38 *5-6行での宣言により、CAL上では以下のような定数として、"l0"と"l1"を利用できる。38 5-6行での宣言により、CAL上では以下のような定数として、"l0"と"l1"を利用できる。 39 39 {{{ 40 40 l0.x = 0.0f, l0.y = 0.0f, l0.z = 1.0f, l0.w = 0.0f … … 47 47 となる。"l1"も同様に使われている。 48 48 49 *実際には、これらの数字には以下のような意味がある:49 実際には、これらの数字には以下のような意味がある: 50 50 ||l0.xとl0.y || データの読み込みのポインタ初期値|| 51 51 ||l0.z || そのポインタのインクリメント用|| … … 55 55 56 56 = ループについて = 57 *CALでのループの実現には、色々な方法があるが、ここでは"whileloop"文を利用する。これは、"whileloop"と"endloop"に挟まれた命令列を永久に実行するという命令文である。よって、無限ループを終わらせる処理を自前で書く必要がある。必要な部分だけを抜き出すと以下のようなCALプログラムがループのひな形となる:57 CALでのループの実現には、色々な方法があるが、ここでは"whileloop"文を利用する。これは、"whileloop"と"endloop"に挟まれた命令列を永久に実行するという命令文である。よって、無限ループを終わらせる処理を自前で書く必要がある。必要な部分だけを抜き出すと以下のようなCALプログラムがループのひな形となる: 58 58 {{{ 59 59 whileloop … … 63 63 endloop 64 64 }}} 65 ここで、"r4.x"をループカウンタとして、"r4.w"をループの上限値として使っている。これはC言語で書くと以下のような処理に相当する: 65 66 ここで、"r4.x"をループカウンタとして、"r4.w"をループの上限値として使っている。これはC言語で書くと以下のような処理に相当する: 66 67 {{{ 67 68 while(1) { … … 71 72 }}} 72 73 73 * "ige"の行は、"r4.x"と"r4.w"の大小を比較して、"r4.x >= r4.w"が成り立っているならば、"r2.x"にTRUEがセットされる(詳しくはil.pdfの43ページを参照のこと。以下同様)。74 "ige"の行は、r4.xとr4.wの大小を比較して、"r4.x >= r4.w"が成り立っているならば、r2.xにTRUEがセットされる(詳しくはil.pdfの43ページを参照のこと。以下同様)。 74 75 75 * "break_logicalnz r2.x"は、"r2.x"が0でないならば、今のループを終了する。TRUEは0ではないので、"ige"でTRUEがセットされていたら、このループが終了する。この2命令を合わせて、C言語のほうのif文に相当することになる。76 "break_logicalnz r2.x"は、r2.xが0でないならば、今のループを終了する。TRUEは0ではないので、"ige"でTRUEがセットされていたら、このループが終了する。この2命令を合わせて、C言語のほうのif文に相当することになる。 76 77 77 * "iadd"は、単純に整数の加算である。"r4.z"は"1"として初期化されているので、"r4.x"をインクリメントすることになる。78 "iadd"文は、単純に整数の加算である。r4.zは整数値1として初期化されているので、r4.xをインクリメントすることになる。 78 79 79 80 = 配列データのランダムアクセス = 80 *これまで、データの読み込みには、"dcl_input_interp"命令で得たindex pair("v0.xy")を使ってきた。これは、kernelプログラムが実行される論理プロセッサごとに、別々のindex pairが割り振られる。実際には、index pairの値は(0.0, 0.0)からはじまる浮動小数点値の組である(と思われる)。81 これまで、データの読み込みには、"dcl_input_interp"命令で得たindex pair("v0.xy")を使ってきた。これは、kernelプログラムが実行される論理プロセッサごとに、別々のindex pairが割り振られる。実際には、index pairの値は(0.0, 0.0)からはじまる浮動小数点値の組である(と思われる)。 81 82 82 *今のプログラムにおいて、id=0のリソースは、CAL_FORMAT_FLOAT_1で1次元のメモリとして宣言したので、C言語の配列で書くとすると、"float array[256]"と同等である。このリソースの任意の場所をCALのプログラムで読み込むためには、"sample_resource"命令に適切なindex pairを与えればよい。具体的には以下のようになる:83 今のプログラムにおいて、id=0のリソースは、CAL_FORMAT_FLOAT_1で1次元のメモリとして宣言したので、C言語の配列で書くとすると、"float array[256]"と同等である。このリソースの任意の場所をCALのプログラムで読み込むためには、"sample_resource"命令に適切なindex pairを与えればよい。具体的には以下のようになる: 83 84 {{{ 84 85 array[0] -> (0.0, 0.0) … … 91 92 実際には、今の場合リソースが1次元として宣言されているのでyのほうの値は無視される。 92 93 93 * "prog.il"の16行では、"r1.x"がindexとして指定されている。この値は8行で0.0に初期化されており、19行で1.0が足されている。よって、このループで19行が実行される度に、"r1.x"は0.0,1.0, 2.0...と増加していくことになる。結果として、"r1.x"で指定された場所から、"r0.x"にid=0のリソースから値が読み込まれることになる。読み込まれた値は、17行において"r3.x"と足し合わされ、合計が計算される。94 "prog.il"の16行では、r1.xがindexとして指定されている。この値は8行で0.0に初期化されており、19行で1.0が足されている。よって、このループで19行が実行される度に、r1.xは0.0,1.0, 2.0...と増加していくことになる。結果として、r1.xで指定された場所から、r0.xにid=0のリソースから値が読み込まれることになる。読み込まれた値は、17行において"r3.x"と足し合わされ、合計が計算される。 94 95 95 96 = 動作のまとめ = 96 *以上の動作をまとめると、このkernelプログラムは「id=0のリソースを先頭から順番に10回読み込んでその合計を計算する」という動作になる。97 以上の動作をまとめると、このkernelプログラムは「id=0のリソースを先頭から順番に10回読み込んでその合計を計算する」という動作になる。 97 98 98 *なお、ループ回数の10は、"prog.il"の6行のw成分で指定されている。今、"hello.cpp"では、この入力メモリに1から256までの値をいれているので、計算結果は55となる。99 なお、ループ回数の10は、"prog.il"の6行のw成分で指定されている。今、"hello.cpp"では、この入力メモリに1から256までの値をいれているので、計算結果は55となる。 99 100 100 101 = 課題 =