根をはるコンピュータアーキテクチャ

2014/07/13

Blaauw&Brooks “Computer Architecture: Concepts and Evolution”(1997)から、 コンピュータアーキテクチャの系統樹。

1997年の出版のため、だいたい1980年代までの話題についてのみ。 ペーパーバックで1000ページを超える大著であるが、ペーパーバック版は2分冊になっている。 著者らはIBM 360の設計者・マネージャーであっため、 前半は360を開発した時の経験に基づいてコンピュータアーキテクチャという単語の発明者(Brooks)が、 コンピュータアーキテクチャを講義するという形になっている。 アーキテクチャを説明する手段として、APL言語(!)を採用していて、それによりISAの詳細を紹介している。

後半は「A Computer Zoo」と題して、系統樹にある過去のエポックメイキングなアーキテクチャをすべて「定義」するという、大変なことをおこなっている。 この動物園の最初のエントリーは「Difference Engines of Babbage and Scheutz」である。 そのあと、Harvard Mark I、Zeus Z4と続く。 CDC 6600やCray 1など、いわゆるスパコンのISAが説明されているだけでなく、 それらの浮動小数点演算やベクトル演算についても記述がある。 この2つの計算機はその子孫がまがりなりにも残っているのに対して、 いきなり系譜が途切れてしまうIlliac IVについては記述がないし、Connection Machineはそもそも載っていない。。。 一方で、VAX 11やPDP8などのUNIXに深く関わる計算機や、 最後にはいくつかマイクロプロセッサについても。 とわいえ、この系統樹に載っていて現代でも広く使われているISAは、SPARC, MIPS, 8080A, AS400とその子孫のみだろうか。 当たり前だが、ARMやGPUのようなマルチコアについては一切触れられてはいない。

なお、IlliacについてはHord “The Illiac IV”(1982)という文献があり、 Connection MachineについてはHillis “The Connection Machine”(1985)がある。 前者をAmazonで購入してみるとプリントオンデマンドのものが送られてきた。 中身は二昔前の論文のようにタイプライタで組版された、非常に読みにくいものであるが、内容は面白いところもある。 後者は日本語訳(+日本語版独自内容の第二部あり)が1990年に出版されていて、すごく時々大きな書店で在庫をみかけることがある。 見かけたら、ぜひカバーにある訳者紹介を見て欲しい。ニヤリと出来るから。